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三笠観光のよもやま話~第13回~

皆さんこんにちは!

三笠観光、更新担当の中西です。

 

~変遷~

 

団体旅行の主役として、高速道路の開通や観光地の整備とともに成長してきた観光バス。
この10年は、安全規制の強化働き方改革による運転者の時間外規制、そしてインバウンド急増という三重の波が業界構造を大きく変えました。以下では、歴史の流れを押さえつつ、現在地とこれからを実務目線で整理します。


1|1990年代まで:団体旅行の拡大と“路線から貸切へ”

  • 高度成長~バブル期にかけて、企業・学校・町内会旅行など団体需要が拡大。

  • 旅行会社の造成商品に合わせて大型観光バスの配備運行ノウハウが平準化。

  • この時代のKPIは「安全に遅れなく運ぶ」——ダイヤ遵守と整備品質が主戦場でした。

2|2000年代:規制緩和→競争激化→安全制度の整備へ

  • 2000年前後の規制緩和で参入が進み、運賃競争が先鋭化。一部では安全投資が後退し、制度的課題が顕在化しました。日本交通政策研究所

  • 利用者が“安全で選べる”仕組みとして、貸切バス事業者安全性評価認定制度(通称:セーフティバス)が2011年度に開始。以後、星マークで安全への取り組みを「見える化」する文化が定着しました。NBA 公益社団法人 日本バス協会

3|2010年代後半:重大事故を受けた規制強化

  • 2016年の軽井沢スキーバス事故を受け、国交省は総合的な安全対策を打ち出し、運行管理体制・監査・罰則などを強化。国土交通省

  • ドライブレコーダー活用の指導・監督義務化(2017年)など、データで運行を管理する方向へ。トキオドール

4|2020–2022:コロナ禍で需要蒸発、制度対応と持久戦

  • 団体旅行・訪日需要が急減。Go To などの政策が議論・実施されつつも、事業者は固定費の圧縮と点検・教育の継続で凌ぐ局面に。J-STAGE

5|2024–2025:観光復活×働き方改革×デジタル運行管理

  • 訪日客数は2024年に過去最高を更新、2025年も最速ペースで伸長。観光・イベント(大阪・関西万博等)の追い風で貸切・周遊需要が再拡大Reuters+1

  • 一方で運転者の時間外労働“年960時間”上限など、2024年4月から自動車運転の業務に上限規制が適用。配車・休息・ダイヤ設計の再構築が必須に。都道府県労働局所在地一覧

  • デジタル式運行記録計の義務化点呼の画像・動画保存など、運行管理のデジタル証跡が求められる流れ(2024年以降順次)。国土交通省

  • セーフティバスも2025年度から審査基準を抜本見直し。安全の“中身”で差がつく時代へ。NBA 公益社団法人 日本バス協会


いま求められる“ニーズ”はこれだ(発注者・旅行会社・訪日客)

  1. 安全の“証拠”
     車両・運転・点呼・整備・教育のデータ提出(ドラレコ、デジタコ、点呼ログ、健康起因対策など)。セーフティバスの星マークは依然強いシグナル。NBA 公益社団法人 日本バス協会

  2. 時間厳守と休息確保の両立
     働き方改革下でも遅れない行程二人体制・配車リレー・余裕ある行路で“無理なく守れる”運用に。都道府県労働局所在地一覧

  3. インバウンド目線の体験
     多言語案内・キャッシュレス・大型荷物対応・トイレ休憩計画。需要波動に合わせた繁閑シフト応援ネットワーク

  4. 環境配慮と快適性
     アイドリング管理・低騒音・室内空気質、車内Wi-Fi・USB・シート快適性など体験価値の底上げ。


現場で感じる“やりがい”はこう育つ(役割別)

  • 運転士:安全運行・定刻到着・接遇でその場の満足を生む手応え。無理のないダイヤ設計でプロとしての誇りが守られる。

  • 配車・運行管理規制順守×遅延最小を両立した行路がハマったときの達成感。データで現場を守り、事故ゼロ・違反ゼロを積み上げる喜び。

  • 整備・車両管理予防整備と故障ゼロでツアーを支える縁の下の誇り。

  • 企画・営業:目的地・食事・体験を束ね、**“今日いちばんの笑顔”**を設計できる醍醐味。


これからの10年:勝ち筋は「安全×人材×需給設計」

  1. 安全の“常時可視化”
     リアルタイムの速度・急操作・休息・ヒヤリハットをダッシュボード化。未然防止を標準運用に。国土交通省

  2. 人材確保=働きやすさ設計
     分割勤務の見直し、宿泊手当、仮眠環境、二人体制のコストを“商品設計”で回収。上限規制時代の等身大ダイヤへ。都道府県労働局所在地一覧

  3. インバウンド対応の磨き込み
     繁忙期の車両・人員確保は、共同配車・応援協定・価格の機動運用で。記録的需要を安定品質で取り切る。Reuters

  4. 商品×運行の一体設計
     走行距離・休憩間隔・渋滞リスクを商品企画段階で織り込み、“守れる約束”だけ売る


実務で使える:ニーズ×やりがいチェックリスト ✅

計画前

運用

  • 点呼(画像/動画)・酒気帯び検知(画像)・デジタコの記録と保存ルールは全員が理解?国土交通省

  • ドラレコのふりかえり会を週次で実施(急ブレーキ・ヒヤリを“学び”に)。

アフター

  • 旅行会社・利用者のレビュー/NPS遅延・苦情・インシデントを突き合わせ、翌月の行路に反映。

  • インバウンドの多言語Q&Aをテンプレ化(荷物・休憩・Wi-Fi・支払い)。


規制は“足かせ”ではなく“品質の言語化”

観光バスは、安全を土台にした体験ビジネス
セーフティバスやデジタル証跡は、品質を“言語化”して信頼に変える仕組みです。
働き方改革で無理なダイヤをやめ、守れる約束だけを売る——それが結果的に評判と単価を押し上げ、
運転士のやりがい(誇り)とお客さまの満足(再指名)を両立させます。🚌✨

 

 


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